テニスの試合で勝つために伸ばすべきは○○

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はじめに

 

今日はメンタル・マインドの話というか、考え方の話。

 

私の同僚のコーチに選手としてもコーチとしても非常に優秀なコーチがいます。

そのコーチから先日聞いた話が非常にいい話だったので記事にしてみました。

 

この話は、テニスの根本的な部分の話になるので、どんなレベルの方にもぜひ一度読んでもらいたいと思っています。


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試合に強いってどういうこと?

 

まずこの図を見てください。

maxというのはその人の打てるショットの上限のレベルで、minというのが下限だと考えてください。

 

左の線で表されている人と、右の線で表されている人。どっちが強いですか?

 

これはもちろん、右の人ですよね。

 

さて、その判断をしたときに、あなたはこのグラフのどこに着目しましたか?

 

上限だけを見て単純に右の人の方が高いからという理由で判断したとしたら、それは大事なことを見落としています。

 

下限も見てくださいね。

この下限こそが、その人の「本当の実力」なのです。

 

競った試合のタイブレーク、絶対に落とせないポイントのときにあなたはどんなプレーをしますか?

 

そこでmaxに近いハードヒットでフォアハンドのストロークを打ちますか?

打つ人もいるかもしれません。

でも、それで勝てるかというとほとんど勝ち目はないと思います。

そのような緊迫した場面で使えるのは、おそらく自分の中で最低レベルのストロークでしょう。

 

チョリチョリに回転がかかった情けないフォアハンドのストロークしか打てないかもしれません。

もしかしたらバックハンドにきたときにはビビりまくってスライスしか打てないかもしれません。

 

これ、実は、プロだって似たような状況になるもんなんですよ。

もちろん、プロが緊迫した状況で打てる最低限のショットはもっともっと遥か上のレベルですけどね。

 

プロの選手はどこで勝負しているか1

 

プロの選手がいったいどこで勝負しているのかっていうと、この上限の付近ではないんですよ。

こんなところで勝負は決まりません。

 

多くの人が勘違いをしているのですが、プロの選手は常にこの最高レベルに近いショットを打ち続けているわけではないのです。

先日のウインブルドン2018での準決勝、ジョン・イズナー選手対ケビン・アンダーソン選手の試合を見られましたか?

 

二人とも2メートルを超す長身の選手です。

サーブは猛烈なショットをお互いに打ち合い、勝負がなかなかつきません。

超ロングゲームとなったこの試合、私は試合時間の長さよりも、二人のストロークが気になりました。

この二人のストローク、決して上限に近いショットなんか打ってないんです。

というか、打てない。

めちゃくちゃ競っている状態で一か八かの爆発的なショットをストロークで使う場面なんかないんです。

そう、やはり、この上限で勝負なんかしてないんです。

2メートルを超すような選手ですよ。

本気の100%でストロークのボールを打てば、それこそ球が破裂するような強打ができるはずなんです。

それくらいのパワーは持ってるんです。お互いに。

でも、それは使いません。

いや、使えないという方が正確でしょうか。

 

プロの選手はどこで勝負をしているか。

 

じゃあ、プロの選手はどこで勝負しているの?

と言われたら、やっぱり我々と一緒。ここなんです。下限付近。

下限で勝負をしているんです。

それを聞くと、うそでしょ!プロの選手、あんなにもすごいストロークを打っているじゃないか!と思う方もいるかもしれません。

いいですか。プロの選手の全力のショットなんか、あんなもんじゃありません。

プロの選手の大会を生で見に行く機会があれば、プロの選手がプラクティスコートで練習しているのを見てください。

そのときプロの選手が打つ球なんて、尋常じゃない威力です。

それだけのショットを打てる力を持っている選手が、ゆっくりと丁寧に打っている。

それがプロの選手の試合本番でのショットなわけです。

 

ところが、テレビのニュースなんかで、錦織圭選手がバックハンドのダウンザラインで、コーナーぎりぎりにスーパーショットを放ったりする。

いいですか。あれはダイジェストなんです(笑)

一番いいところを編集で切り取っただけなんです。その他のポイントは非常に地味なショットの積み重ねだったりするわけです。

 

よく試合で、「自分の実力が半分も出せなかった。」などと言う人がいます。

安心してください。

みんなそうです(笑)

シュテフィ・グラフ選手をご存知でしょうか?

伊達公子さんと同時期に活躍された女子のチャンピオンなので、日本人にもなじみが深い選手だと思いますが、最近の若い人は知らないかな(笑)

アンドレ・アガシ選手の奥さんですね。

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 これも若い人はわかんないか(笑)

 

そのグラフ選手のコーチが言うには、「シュテフィは持ってる力の20%くらいしか発揮できていない。」ということだそうです。

女王グラフでさえ、この上限でまともにプレーできてはいないんです。

われわれアマチュアが、上限いっぱいまでぎりぎりのショットを打ってプレーしようなどおこがましいと思いませんか(笑)

 

プロの選手は決して上限いっぱいのショットを打ってなどいない。

私がそれを初めて確信したのは2004年のフレンチオープン、男子決勝を見たときです。

 

ギレルモ(ギジェルモ)・コリア 対 ガストン・ガウディオ

 

試合は前評判通り、コリア選手の圧倒的な優位で進みます。

2セットをコリア選手が先に奪い、いよいよガウディオ選手も後が無くなったというときに、異変が起こります。

なんとコリア選手が足を引きずり始めるのです。

痙攣したのか、負傷したのか、ともかくコリア選手はそれまでの軽快なフットワークを失います。

走れなくなったコリア選手は、それまでボールに回転をしっかりとかけながら、ゆっくりのボールを打ってラリーをしていたのですが、急に一発勝負に出ます。

フラットに近いボールを打ってエースを取ろうとするのですが、その時のボールが速いのなんのって!

コリア選手って、こんなに速い球が打てるのか!と驚いたものです。

私はコリア選手が細身で小柄だから球が遅いのかと思っていたのですが、とんでもない。

コリア選手は意図して遅いボールを打っていたのです。

それはまさにこの下限だったのかもしれません。

力いっぱいストロークをするのではなく、コントロールを最優先して丁寧にボールをコントロールする。

それがプロのテニスなのです。

 

ついでにそのコリア選手対ガウディオ選手の結末を話しておくと、なんとガウディオ選手の大逆転勝ち。

非常にドラマティックな試合だったのを覚えています。

 

その後のフレンチオープンはナダルナダルナダルの時代に(笑)

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 コリア選手はその後フレンチオープンのタイトルを手にすることはありませんでした。

 

伸ばすなら下限を伸ばしなさい

 

と、話はあちこちそれましたが、今回の記事で一番言いたいのは、みなさんにも自分のショットの「下限」を伸ばす工夫をしてもらいたいのです。

上限が伸びても、下限が同じなら結果は変わりません。

試合で最後に勝負を決するのは、ほとんどの場合、下限なのですから。

 

反対に上限など一切伸びなくても、下限が伸びたのであれば今まで勝てなかったような相手にも勝てるようになったりするのです。

みなさんは練習のときにこの「下限」というのを意識できていますか。

 

サーブ練習のときに思い切りフラットでファーストサーブを打つ練習だけをして終わりという方は要注意!

今153キロくらいで打てるファーストサーブを154キロで打てるようにしたいんでしょうか?

 

たしかに、それの練習でサーブは速くなるかもしれませんが、こういう練習が「下限」を伸ばすという観点からは一番的外れだということです。

 

下限を伸ばす練習法

 

じゃあ、どうやって下限を伸ばす練習をすればいいのかというと、実は最初にお話しした同僚のコーチにこんな練習法を教わりました。

 

半面のクロスでシングルス セカンドサーブ1球で勝負 なるべく負けないようにプレー

 

というものです。少人数で練習できるなら半面でなく、全面で行えばよいです。

このセカンドサーブのみというのがポイントです。

ファーストサーブが打てませんから、雑なショットはできません。

 

丁寧にサーブを入れないといけないからプレッシャーがかかります。

 

このときに打つショット、それこそがあなたの実力そのものということです。

へっぴりごしでセカンドサーブを打ってませんか?

 

いかがでしょうか。

この練習は1ポイントごとに交代しながら練習するので、大人数なのに1面しかコートが使えないというときなどにも非常にいい練習方法だと思います。ぜひやってみてください。

 


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まとめ

 

このように、自分にプレッシャーがかかる場面を想定しながら練習をすること。

そうすることで自らの「下限」が伸ばせるようになってきます。

もちろんほかにも練習方法はたくさんありますが、大事なのはあくまでもプレッシャーがかかる場面を作ることです。

 

そう考えれば、みなさん自身でも練習メニューは作れるかと思います。

 

さて、いかがでしたでしょうか。

おわかりいただけましたか。

 

テニスの試合で勝つために伸ばすべきは「下限」

ということです。

 

よくよく吟味あるべきものなり。

 

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