今日は「球質」の話をしようと思います。
球質と言えば、テニスの全ショットに共通する話なのですが、一応記事としてはフォアハンドの記事として分類させてもらいました。
やっぱりフォアハンドのボールの質というのが、一番プレーの中で影響が大きいですから。
ところで、「球が重い」とか、「球が軽い」という表現を聞いたことありますか。
これって一体どういうことなんでしょうね?
テニスボールの重さには共通の決まりがあるはずですよね。
それなのにある人が打つボールは重く、ある人が打つボールは軽い。
こんなことがあり得るんでしょうか。
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テニスボール自体の重さは、国際的なルールで決まっています。
「56.0g以上59.4g以下」というのが正式なルールなのですが、
60g弱と覚えておけば十分です。
と、このようにボールの重さは物理的に決まっているのに、
打つ人によって「ボールが重い」とか「ボールが軽い」とか言われるのはなぜなんでしょうか。
今回の記事はその辺を明らかにしていきたいと思います。
「ボールが重い」あるいは「軽い」
これがスポーツの世界で一般的に言われるようになったのって、アニメの「巨人の星」の影響が大きいんじゃないかなと思います。
巨人の星の主人公と言えば、ご存知、星飛雄馬。
アニメ自体は一度も見たことがない、全然世代が違うという方でも、CMや懐かしのアニメ特集、その他パロディー作品などでその概要を知っているという方も多いのではないでしょうか。
ストーリーは全く知らないという方でも、星一徹の一発芸、ちゃぶ台返しなど、断片的な知識がある方も多いと思います。
ストーリーはいわゆる「スポ根漫画(スポーツ根性漫画)」ですね。
主人公の星飛雄馬は、恵まれた体格ではないにもかかわらず、努力と根性で剛速球のピッチャーへと成長します。
ところが、あるとき重大な壁にぶち当たります。
「体格が小さいために、投げるボールの質が軽い。」
それゆえ、バッターに一たびつかまれば、軽々とホームランを打たれてしまう、、、
そこで星飛雄馬は禅寺で修行して、かの有名な「消える魔球」などの大リーグボールと呼ばれる必殺技を編み出していきます。
かくして、星飛雄馬は正統派ピッチャーから、あやしげな手品師になっていくというのが、巨人の星の概要です。
私の記憶がたしかなら(笑)
でもね、ここには重大な誤りがあるんですよ。
「体格が小さくて、体が軽いと投げるボールが軽い。」
そもそもこの大前提が間違いなんです。
「同じ重さのボールを同じスピードで投げれば、同じエネルギー」しか発生しません。
したがって、同じ時速50キロのボールを投げるのであれば、横綱白鵬が投げても桐谷美玲が投げても同じことです。
「運動エネルギーは、動く物体の質量に比例し、速さの二乗に比例する。」
これは、中学校でも習うレベルの物理法則ですが、運動エネルギーを算出するときに、ボールの質量(重さ)と速さは計算に入れても、投げた人の体重は全く関係ありません。
ちょっと冷静になって考えたら当たり前のことなんですが、星飛雄馬はこれに気づかない(笑)
大リーグボール養成ギブスとかむちゃくちゃなやり方で筋肉を鍛えている暇があったら、ちょっとくらい学校の宿題でもやっておけばよかったのですが、残念ながらオツムはリトルリーグレベル。
やっぱり勉強はしとかなあかんね(笑)
でも、実際スポーツで「ボールの重い、軽い」って聞くじゃないですか。
これはたしかに存在するんです。
この正体はなんなのかってことですよね。
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星飛雄馬の話が出たので、ついでに野球の話をしておくと、プロ野球のピッチャーが投げる球を見て、これは「重そう」と私が思ったのは、
阪神タイガースの藤川球児選手の球です。
全盛期のボールは「火の玉ストレート」とまで呼ばれて、キャッチャーミットに突き刺さるような球でした。
ボールスピードは150キロ前後。
なのに、ほかのピッチャーが投げる150キロのストレートとあきらかに球の軌道が違う。
バッターの前でホップするというか、グッと伸びるような球なんですね。
150キロのストレートを投げるピッチャーは探せばいくらかはいますが、藤川球児選手の球ほど「重そう」なストレートを投げるピッチャーはあまり例がありません。
まあ、藤川球児選手の球なんて、バッターはまともにボールに触ることもできないほどの球でしたから、重いもクソもないと言ってしまえばそれまでですが、あれは間違いなく「重い」球でしょうね。
「ボールが重い、軽い」の正体。
これって主には「手元でボールがどれくらい伸びてくるかという問題」とか、「ボールのスピンの問題」なんですよ。
テニスのラケットにはスイートスポットというものが存在します。
ラケットのど真ん中の一番よくボールが飛ぶ部分のことです。
前述の野球の話で言えば、「バットの芯」ってやつですね。
そこで、ボールをきちんととらえてボールを体の前の打点でとらえることができれば、どんなに速い球がきても本来は軽く打ち返せることができるんです。
ところが、相手のボールがバウンド後によく伸びてきて、打点が遅れてしまったり、スイートスポットでボールを取り損ねると、ボールは全然飛んでいきません。
しっかりスイングをしているにもかかわらず、このように打ち損じた球というのは全然飛んで行ってくれないのです。
そのため人は錯覚します。
「このボールは重い」
と。
相手に自分が打つボールを重く感じさせたいのであれば、相手の予想を上回るボールの伸びと、ボールのスピン。
これを手に入れなくてはなりません。
じゃあ、どうやったらそんな球が打てるようになるのかということですが、この話はまた次回以降ということにしましょう。
①ボールをきちんとスイートスポットでとらえる技術
②強烈なスピンを生むスイングスピード
これらを手に入れる方法についてまた別の記事で言及していきたいと思います。
過去の記事にもこれらの答えを探すためのヒントは散りばめていますけどね。
よくよく吟味あるべきものなり。
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