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錦織圭選手になれる?30ポンドのストリングの罠

はじめに

 

読めばテニスがうまくなる」

 

この講座は「読むテニスの教材」として、みなさんのテニスのレベルアップに役立つテニスの上達法や、最新のテニスグッズの紹介をしていきます。

 

今回はストリング(ガット)の話です。

みなさんはストリングを何ポンドで張っていますか?

今、プロの選手の間でストリングを極端にゆるく張るのがちょっとしたブームになっているんだそうです。

今回の記事はその謎に迫ってみたいと思います。


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ストリングをゆるく張るとどうなる?

 

ストリングをゆるく張るのがちょっとしたブームと言いましたが、ゆるく張っている選手の筆頭と言えば、なんと言っても、

 

錦織圭選手

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なんと38ポンドとか、30ポンド台でストリングを張っているそうです。

張っているストリングはこちら。

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錦織圭選手は以前まで同じルキシロン4Gを使っていましたが、

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最近になってエレメントを使うようになったそうです。

やはりけがをした影響もあるのでしょうか。

4Gよりもエレメントはより一層柔らかい感覚のするストリングだと思います。

 

さて、ストリングのテンションの話に戻ります。

ストリングのテンションが30ポンド台

それがどれぐらい緩いのかという話です。

大抵のラケットにはストリングを張るときの「適正テンション」というものが想定されています。

多くのラケットは45ポンドくらいから60ポンドくらいの間で張りましょうということになっています。

ちゃんとラケットに小さい字で書いていますよ。

知らなかったという方は一度ご自分のラケットをよーく見てください。

 

一応適正テンションの範囲で考えると、45ポンドとか48ポンドぐらいで張ればゆるく、50ポンド代前半くらいで張れば普通。57ポンドとか、60ポンドで張ればかたいという感じですかね。

 

ここで意外とテニス初心者にありがちな誤解の話なんですが、ストリングというのはゆるく張った方がボールが飛びます

トランポリンと同じ理屈なんですね。

ストリングがボヨンとたわんで戻るアクションがある方が飛ぶわけです。

かたく張った方が飛ぶと思っている方が結構たくさんいらっしゃるので念のため。

 

適正テンションの話を先ほどしましたが、適正テンションというのはあくまで目安であって、その範囲以外でストリングを張ることが禁止されているわけではありません。

例えば適正テンションの枠内で張られていないストリングを用いたラケットで試合に出ると失格になるとか、そういったことはないわけです。

ただ、ラケットというのはメーカーが開発の段階で何度も何度もテストを重ねて、適正テンションの範囲を決めているものなので、その範囲には一定の合理性が存在すると思うのです。

ど素人が、安易に適正テンションを無視するのはおすすめしません。

 

錦織圭選手の場合はケガから復活するために、腕への負担が少ない、極端に柔らかいテンションをあえて選んでいるようです。

それを聞いて、「なるほど、自分もテニスエルボーだし、ケガしてるから極端にゆるく張ってみよう。」

などと思ったら大間違いです。

真似をするのはおすすめしません。

 

低いテンションを扱うのは、そもそもテニスがめちゃくちゃうまくないと無理なんです。

いつもよりもストリングが大きくたわんでボールが吹っ飛んでいくわけです。

下手な人がこれを扱うとボールはあちこちとんでもない方向に行ってしまいます。

また、アウトが多くなるので、スピンをかけて何とかボールをコートにおさめようとされるかもしれません。

そこで無理やり手首なんかをこねくり回してスピンを打とうとすると、余計にケガのもとになったりします。

30ポンド台なんて極端なゆるいテンションは錦織圭選手など、トップの選手だからこそ可能だということを忘れないでください。

もしあなたがケガをして悩んでいるのであれば、適正テンションの範囲でゆるく張るか、あるいはテニスをしばらく休むなどして回復させる方が賢明です。

 

ストリングをかたく張るとどうなる?

 

さて、ストリングをゆるく張るのがブームとお話ししましたが、みなさんにおすすめするものではないということはご理解いただけたでしょうか。

逆に極端に高いテンションでストリングを張るとどうなるのでしょうか。

 

実は現在のゆるくストリングを張るブームと同じように、ストリングをかたく張るブームも過去にあったのです。

 

1980年代の偉大なチャンピオン、ビヨン・ボルグ選手

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彼のストリングはなんと80ポンドくらいで張られていたと言います。

ちなみに同時代のマッケンロー選手は40ポンド台とか、ゆるゆるのテンションだったと言われています。

 

1990年代の偉大なるチャンピオン、ピート・サンプラス選手もストリングを極端にかたく張っていた選手の一人。

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サンプラス選手と言えば、ロジャー・フェデラー選手がかつてあこがれていた選手としても有名ですね。

 

2019年の今もなお、こうして商品にその顔を残すなんて、すごい影響力です。

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そんなサンプラス選手もやはり80ポンドぐらいで張っていたと言われています。

80ポンドくらいで張ると何が起きるかというと、選手がホテルで泊まっているときに、ラケットバッグの中から、何もしていないのに、ギシギシとストリングがきしむ音が聞こえるとか、コートに着いたら何にもしていないのにストリングが切れていたとか、そういったこともあるようです。

 

このような高いテンションでストリングを張る選手にあこがれて、真似をしようとする人が続出しました。

テニスショップに自分のラケットを極端に高いテンションで張るようにオーダーする

そんなテニスショップ泣かせの困った輩がかつては少なからずいたようです。

 

ところが、現在ではそこまで高いテンションで張りたがる方はあまりいないようです。

プロの選手があまり高いテンションで張っていないからというのもあるでしょうね。

一昔前の選手が高いテンションで張っていたのは、今と異なるストリングの事情があったからです。

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この時代の最高峰のストリングと言えばこれ。

バボラのVS TOUCH

(まあ、これは現在においても最高のストリングですけどね。)

これはナチュラルガットです。

プロにとってはこのストリングこそが最高のストリングでした。

今のようにポリエステルストリングがまだ主流ではなかったのです。

ナチュラルガットはボールがよく飛びます。

パワーのある選手がボールの飛びすぎを抑えるためにはどうしてもある程度はかたいテンションで張らざるを得ません。

ところが、ポリエステルストリングの登場により、ストリングをかたく張らなくてもボールの飛びを抑えられるようになった。

これが、極端に高いテンションで張る選手が減った一番の理由でしょうね。

 

「プロ選手と言えばナチュラルガット」の時代は、いつの間にか「プロ選手と言えばポリエステル」の時代へと変わっていきます。

(とくにルキシロンのアルパワー

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現在のプロの多くは50ポンド台とか、高くても60ポンド強とか、そんなもんです。

ロジャー・フェデラー選手もラファエル・ナダル選手も55ポンドくらいで張っているようですし、錦織圭選手だってケガをする前はそれくらいのテンションで張っていました。

 

ただ、今現在でも、ダスティン・ブラウン選手だけはちょっと別格に高いテンションでストリングを張っているようです。

70ポンドくらいで張ってるそうです。

あの奇想天外なプレーを見ると、まあそれも納得かなという感じですね。

 

ブラウン選手のストリングは最近これだったかな。

先にも紹介したルキシロンの4G.

これの1.30ゲージだったと思います。

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ブラウン選手は以前このソリンコのツアーバイトの1.30ゲージを使っていました。

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こちらも知る人ぞ知るいいストリングです。

ソリンコなんてメーカー、聞いたことないという方は、こちらの記事をご覧ください。

新興勢力!?ソリンコ ハイパーG ツアーバイトの実力

https://mindtennis.net/2018/05/25/string/

 

ちゃんと張れていなきゃ意味がない

 

さて、以上のようにストリングは極端に低いテンションで張るのも、高いテンションで張るのもおすすめしません。

一番良いのは正しい知識と技術を持ったストリンガーとともに自分に合ったテンションを見つけることじゃないでしょうか。

大阪府吹田市にあるテニスショップラケットハウスキングの桒田さんの動画です。

 

私もかつては64ポンドくらいでストリングを張ってみたこともありますし、反対に42ポンドくらいで張ったこともあります。

しかし、今は結局56ポンドぐらいで張っています。

普通です。

普通でいいんです。

 

まとめ

 

いずれにせよ極端なテンションでストリングを張ることはおすすめしません。

以前にも記事で書きましたが、「道具は普通でいい」のです。

普通の道具を使って、普通じゃないレベルの努力をしてください。

 

よくよく吟味あるべきものなり。

 

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