この講座は、
「読むテニスの教材」として、
テニスのレベルアップに役立つ情報や、
テニスの上達法、
テニスの練習法、
最新のテニスグッズ
などを紹介していきます。
今回は久しぶりに「プロの選手に学ぶシリーズ」のコラムを書いてみたいと思います。
全仏オープンテニス2020で、見事優勝を果たしたラファエル・ナダル選手。
一体どこまで勝ち続けるのか、強すぎてあきれかえるほどです。
無敵のクレー王者と言われるラファエル・ナダル選手、なんとフレンチオープンでは、100勝2敗という驚異的な記録を持っています。
信じられないような勝率なんですが、過去に2度だけ負けているんですね。
そのうちの1つは、2009年のことです。
全仏オープンで無敵の強さを誇り、31戦無敗だったラファエル・ナダル選手を初めて破った選手。
それがロビン・ソダーリング選手です。
自己最高の世界ランキング4位のスウェーデンの選手です。
全仏オープンでラファエル・ナダル選手を破るくらいですから、その後華々しい活躍をしたのかというとそうでもないのです。
もちろん、世界4位というのは、すごいことなんですけども、ソダーリング選手のポテンシャルを考えると、その後もっと活躍してもおかしくはなかったはずなのです。
ソダーリング選手は2015年に31歳の若さで引退を表明しました。
引退理由として、表向きに知られているのは伝染性単核症です。
伝染性単核症というのは、わりとプロのテニス選手がかかったりする感染症ですね。
体力があるはずのアスリートがなぜ?
と思われるかもしれませんが、アスリートというのは、限界まで体を追い込んでトレーニングをしたりするので、免疫が弱って感染症になりやすかったりするのです。
しかし、自身の引退について、後にソダーリング選手が語ったのは、長きに渡る精神疾患との戦いでした。
2011年にソダーリング選手のもとに精神疾患が突然やってきたと言います。
毎晩少しか眠れず、不安定な日々だったと言いますが、テニスには何の影響もなかったそうです。
しかし、免疫システムが徐々に狂い始め、風邪のような症状や、不眠が続いたといいます。
風邪をひいたり、喉の痛みや熱が出て、めまいがしたり、眠れなくなったりすることもあったそうですが、自分は絶対に大丈夫だと思いこんでいたようです。
完璧主義者なところがあるソダーリング選手は、自分を追い込みすぎ、やがて、精神が崩壊し始めます。
ストレスを強く感じるようになり、不安やパニック障害が出るようになっていったと言います。
自分に何が起こっているのかも全くわからなかったそうです。
そりゃそうですよね。
プロテニス選手として、トップレベルを維持することに成功し、何もかも順風満帆に見えていたソダーリング選手にとって、まさか自分が壊れるなどと思っていなかったのでしょう。
ソダーリング選手は、自分と同じうな苦しみを抱える人のためにこう語ります。
「メンタルの病で苦しんでいる人は、何かが間違っていたと認めることを恐れてはいけない。そして、話すことができる相手を見つけてもらいたい。できれば経験者がいい。私の場合は、同じような経験をした友人が大きな助けになった。」
これって最近芸能人が亡くなるニュースを聞くたびに感じていたことなんですよね。
誰かそばに苦しみを打ち明けられるような人がいなかったのかなって、、、
話ても何も解決はしないかもしれません。
でも、話しただけで楽になることだってあると思うんです。
自分は絶対に一人じゃない。
そう思えれば、きっと心強いと思うのです。
またソダーリング選手は、こう語ります。
「朝起きたら、自分と向き合ってみよう。小さな信号を無視するのは簡単だが、それでは遅かれ早かれ自分が壊れてしまう。大丈夫だと自分に言い聞かせようとはしないでほしい。そして、仕事を少し休んで、躊躇わずに他のことをやってみるといい」
つらい時には休む。
それを逃げているなんて思ってはいけないのです。
休むことに罪悪感を持っている仕事人間はたくさんいますよね。
このソダーリング選手の言葉は、テニスだけではなく、どんな仕事に携わる人にも当てはまる言葉だと思うのです。
また、プロ選手を目指す人には、こう語りかける。
「プロになるには大変な努力をしなければならないし、人生の大部分をテニスに費やす必要がある。しかし、それが人生の全てとなると問題が生じてくる。私はすべてのことをテニスに費やしていた。しかし、今日、明日のパフォーマンスだけではなく、長いキャリアを健やかに送ることも大切だ。次の大会のためだけでなく、普段の生活の質も大切なんだ。」
これは、私自身が選手だったときに全く気付かなかったことです。
試合で勝つために必死で努力しているときは盲目なのです。
選手であったときにこのソダーリング選手の言葉を聞けていたらいくらか違ったのかなとも思います。
大坂なおみ選手も一度同じようなことを言っていたことがありますね。
「普段の生活の質」
プロの選手は、その人生のすべてを競技に捧げているような人たちですからね。
大坂なおみ選手が、全米オープンに初優勝し、その後全豪で優勝した時に、あまりのハードワークが続いてしまったせいか、少し疲れてしまっていたように見えました。
そのときに弱気な発言をしたり、元コーチのサーシャ・バイン氏と決別したりとありましたが、
ソダーリング選手の言葉を聞くと、それがとても納得がいく気がするのです。
またこんな言葉もソダーリング選手は残しています。
「メンタルの病について話すことは恥ずかしいことではない。スポーツ選手をしていても、他の分野の仕事をしていても、よくある問題だ。苦しんでいるなら、もっと多くを話す必要がある。打ち明けることで弱くなることはない。実際には強くなれるんだ」
いかがでしたでしょうか。
ロビン・ソダーリング選手の悲劇を教訓に、みなさんは、自分の心も体も大切にしてください。
誰の言葉だったかは忘れましたが、最近こんな言葉を聞いたのが印象的でした。
「ストラディバリウスのような数億円のバイオリンを持っているバイオリニストは、そのバイオリンが万が一でも壊れないように非常に丁寧に扱う。なのに、人は自分の身体に対して無頓着だ。人の価値はバイオリンよりもずっと高いはずなのに。」
うーん、、、と思わずうならされてしまったんですよね。
自分の身体は何よりも大切なのに、夜更かししたり、暴飲暴食したり、全然大切に扱ってないよなーと痛感しました。
そりゃ体調悪くなったりもしますよ。
みなさんも自分の心と体、大切にしましょうね。
元気だからこそテニスができるわけです。
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