ひたすら振り回し練習の効果
今回はテニスの練習法について書きますが、実はメンタルの話です。
みなさんは普段の練習で自分をどれほど追い込んで練習していますか。
ケガをしないようにすることはもちろん大切ですが、競技としてテニスをするのであれば、ある程度自分を追い込んで練習しなければ強くなどなりません。
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テニスの練習の話をする前に、ちょっと筋トレの話をしておきましょう。
筋トレの大原則の一つに「過負荷(オーバーロード)の原則」というものがあります。
これは筋トレの基本中の基本ともいえる原則なのですが、「今の自分にとって少しきついレベルのトレーニングをしなくてはならない」ということです。
そうすると何が起こるかということなんですが、脳にスイッチが入ります。
脳はこう判断するんですね。
「あ、こんなに重い負荷が自分にかかるんだったら、もっと強い身体に変化しないと耐えられない。」
そう、脳は環境に応じて自分を変化させるように、自分の身体の各場所に指示を出します。
そして、身体の各場所の組織をより強く作り変えて再生させます。
だから、筋トレをしているときにはある程度重いものを持ったり、回数をたくさんやって「負荷」をかけないといけないわけです。
負荷が弱いと脳はこう判断します。
「このくらいなら、今の身体で十分だね。」
これだと身体は変化しないんです。
昔、アニメのドラゴンボールで、こんな設定がありました。
「主人公の悟空や、ベジータなどの戦闘民族サイヤ人は瀕死の状態からから復活すると強くなる」というものです。
これは筋トレにおける「過負荷の原則」と「超回復の理論」をとてもよく表していると思うんですが(笑)
われわれ普通の人間も追い込んだら強くなるんですから、みんなサイヤ人みたいなもんです。
メンタルの場合にも同じようなことが言えます。
「若い時の苦労は買ってでもしろ」とか、「逆境が人を強くする」とか、言いますが、
とにかくメンタルも負荷をかけて追い込むことで強くなるというのは本当です。
じゃあ、どうやってメンタルにほどよい負荷をかけていくのかということですよね。
私は高校生のころ、80球~120球連続の球出し練習というのをやらされていました。
だいたいボールのかご1つ分打つような感じですね。
それだけの数を左右に振り回しながら出されると、いくら体力があっても相当きついのです。
夏場の暑いときにやれば、吐き気がするほどでした。
私は、というか、この練習をしていたみんなが、この練習をするのが大嫌いでした。
まあ、当たり前ですね。
コーチがいつ「これから振り回し練習」と言い出すかいつもびくびくしていたものです。
当時はこんなきつい練習をやって一体何の意味があるんだと思ってました。
実際、試合でラリー中にボールが80球とか100球くらい連続で飛んでくるかっていうと、そんなことは過去に一度たりともないわけです。
私が過去に経験した長いラリーでも、せいぜい20球か30球くらいのもんです。
「実践に近い状態で練習」ということを考えると不合理とも思えますよね。
でも、この練習を繰り返していたときが、一番強くなったと自分で感じています。
なぜなら、メンタルが最も鍛えられたからだと思ってます。
「練習で100球打ってるんだから、何球返ってこようが怖くない。」
そう思えるようになりました。
もし、自分が強くなるためにもう一度練習するなら必ずこの練習はやるでしょうね。嫌だけど(笑)
「試合で勝つ人は、練習で泣いて、試合で笑います。試合で負ける人は練習で笑って、試合で泣きます。」
みなさんはどちらを取りますか?
トップのプロ選手もこのような振り回しをやっているからこそ強いのです。
私が聞いた話ですが、とある日本の学生のトップ選手、試合中に何かブツブツとつぶやいていたそうです。
よくよく聞いていると、
「学校行きたくない、学校行きたくない、学校行きたくない、、、」
(笑)
そう、彼は試合に勝ち続けることで、大嫌いな学校の授業に出なくてもいいし、部活の練習に出なくてもいい。
彼はこう言っていたそうです。
「普段の練習が地獄だから、試合が天国のように思える。」
試合でぜーぜー言いながら息をして、試合が終わったら普段まったくならないような筋肉痛になるというようなアマチュアとは全く追い込み方が違うわけです。
世界レベルの選手の場合はどうでしょうか。
「スペインドリル」というのをご存知ですか。
これはテニスの強豪国スペインの選手がよくやる練習なのでそう呼ばれているんですが、単純な前後左右の振り回しです。
なんとその数は300球~600球に及ぶこともあるそうです!!!
やっぱり、世界のトップ選手は違いますね。
とかく野球選手というのは、長時間の走り込みをしているイメージです。
私の学生時代を振り返っても、とにかく野球部はなぜかひたすらランニングをしてる。
下手すりゃ陸上部より走ってんじゃないのかと思えるほど、よく走ってたのですが、これって野球の競技の特性を考えると不合理に思えませんか?
足腰とスタミナを鍛えると言ったって、先発完投型のピッチャーならともかく、
ゲーム終盤で出てくるだけの抑えのピッチャーや、典型的な「4番ファースト」タイプのスラッガーが長時間のランニングをすることに意味はあるのかと私はずっと疑問でした。
そんなことをするくらいなら短距離のダッシュをした方がよほどいいのではないかと思ったりもしてました。
ただ、長時間のランニングというのは「不屈の精神」を養うという点ではいいのかもしれません。
事実、ソフトバンクの松坂投手、千葉ロッテの涌井選手などの名選手を輩出した強豪校である横浜高校は選手たちにとても長い時間の走り込みをさせていると言います。
そこで鍛え上げられた基礎があるからこそプロの世界でも活躍できていると野球の専門家は言います。
やっぱり、競技は違っても、本当に強くなる人は追い込んで練習しているわけです。
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徹底してフィジカルを鍛えるという行為を通じてメンタルを鍛え上げる。
メンタルだけを独立して鍛えるということを考えると、「滝に打たれる」とか、「妙な形の図形を眺める」とか、どこか宗教めいたあやしげで効果が不透明なところに行きついてしまいがちです。
しかし、フィジカル、あるいはテクニックのトレーニングを通じてメンタルを鍛えるようにすることで、その競技に応じた、本当に必要なメンタルの力というのは備わってきます。
このブログでは形式上テニスの「心」「体」「技」と区分していますが、本来それらは三位一体と言っていいものなのです。
よくよく吟味あるべきものなり。
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