フェデラー選手とナダル選手のラケットに見るプロのラケットの傾向

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はじめに

 

どうも。

読めばテニスがうまくなる」マインドテニス講座管理人の山口泰弘です。

 

この講座は「読むテニスの教材」として、みなさんのテニスのレベルアップに役立つテニスの上達法や、最新のテニスグッズの紹介をしていきます。

 

今回は道具の話です。

道具の話なんていうと、「道具じゃなくて、問題は腕だよ。」

という方が必ずいます。

 

たしかにそうなんです。

その通り。

「弘法は筆を選ばず」

と言います。

 

ただ、これは、弘法ほどのすぐれた書家になれば、どんな筆でも素晴らしい字が書けることを言っているだけで、

決して、弘法が道具に無頓着であることを示しているものではありません。

 

弘法だって、手近にいくつか筆があって、その中から自由に筆を選んで作品を書けと言われたら、その選択肢の中から一番のものを選ぶはずなんです。

 

そう、弘法は筆を選びます。

 

 

兵具は格別、余の道具、たしなまず。

宮本武蔵

かの宮本武蔵もこう言っているのです。

 

プロの選手たちは自分の使う道具に対してどんな感覚を持っているのでしょうか。

今のプロの選手がどんなラケットを使っているか。

そんな話を今回はしてみたいと思います。

みなさんが道具を選ぶ際の参考となれば幸いです。

 


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プロ選手のラケットの傾向

 

かつての人気ラケットに、

「三種の神器」

と呼ばれるものがあったのをご存知でしょうか。

1990年代ごろのトッププロの多くが使用していたラケットは、フレームが薄くて硬く、程よいしなりはあるけどもあまり飛ばないラケットというのが好まれました。

今でこそバボラのピュアドライブのようなよく飛ぶラケットがプロにも使用されていますが、

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ポリエステルストリングがが登場していなかった、あるいは一般的でなかった当時、プロ選手がよく飛ぶラケットを使うことはあまり考えられませんでした。

 

ちなみに、「三種の神器」とは、以下のものを言いました。

プリンス グラファイト

ウィルソン プロスタッフ

ヘッド プレステージ

これらのラケットは、平成が終わろうかという現在になっても、形を変えながらそのDNAが受け継がれているのです。

 

プリンス グラファイト

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驚くべきことにプリンスの最新版カタログにもグラファイトは載っています。

このラケットは錦織圭選手のコーチであるマイケル・チャン選手のイメージが強いです。

 

また、ファン・カルロス・フェレーロ選手ギレルモ・コリア選手といったクレーのスペシャリストが使用していた印象も。

彼らはこのラケットにルキシロンビッグバンガーオリジナルを張って使用。

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ビッグバンガーオリジナルのレビュー記事はこちら。

https://mindtennis.net/2019/03/26/string-9/

 

またかつてアンドレ・アガシ選手が若かったころに使用していたイメージも強いです。

 

現在のグラファイトはこんな感じです。

ツアーグラファイト100XR

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そのDNAは確かに受け継がれています。

ウィルソン プロスタッフ

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ピート・サンプラス選手ステファン・エドベリ選手といったボレーのスペシャリストが使っていたイメージ

サンプラス選手のモデルは一時期 復刻版として発売されました。

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現在のプロスタッフは

ロジャー・フェデラー選手のラケットとして、いまだにトップセラーモデルです。

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ロジャー・フェデラー選手のラケットについてはこちらの記事をご覧ください。

https://mindtennis.net/2019/03/18/racket-35/

 

ヘッド プレステージ クラシック

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 ゴラン・イヴァニセビッチ選手マラト・サフィン選手といった長身で強烈なサーブを打つ選手が使っていた印象。

マーク・フィリポウシス選手もプレステージでした。

 

93インチという小さなフェイスサイズに18×20のストリングパターン。

とにかくパワーのある選手でなくては使いこなせない仕様になっていました。

現在では93インチのタイプを使う選手は減ったものの、やや面が大きくなったミッドプラスタイプはトッププレーヤー御用達のラケットです。

 

ヘッド グラフィンタッチ プレステージ

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このようにラケットの変遷の歴史を語る上では決して避けて通れない「三種の神器」なのですが、最近プロの選手が使うラケットを分析すると、

ある2つの傾向が見られます。

 

ともにトップ選手であるフェデラー選手とナダル選手のラケットを例に見てみましょう。

 

ロジャー・フェデラー選手のラケット

 

ロジャー・フェデラー選手のラケットはこちら。

ウィルソン プロスタッフ RF97 オートグラフ

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詳しいレビューはこちらの記事をご覧ください。

https://mindtennis.net/2019/03/18/racket-35/

 

その特徴は、かつての「三種の神器」に見られるような、やや薄いフレームです。

それにより、ググっとラケットがしなり、ボールがラケットに乗っかるような感覚が得られます。

非常にコントロール性能の高いラケットだということです。

ピンポイントでボールをコントロールする美しいテニスのフェデラー選手らしい選択ですね。

 

そして、あと何点か細かい点を挙げておきます。

ラケットはフレームの性能だけで決まるものではありません。

プレーヤーとラケットの接点となるグリップ。

ここは非常に重要なポイントになります。

 

フェデラー選手が使用するグリップはこんな感じです。

 

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その上にオーバーグリップを巻いています。

 

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昔のラケットは購入した段階ですでにレザーグリップというものが多かったのですが、最近のラケットはほぼすべてウレタン製ですね。

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メーカーとしては、ウレタングリップにした方がコストを下げることができるので、当然ウレタンを標準装備にしたいのだと思います。

ですが、レザーグリップには、レザーグリップにしかないメリットがあるのです。

レザーグリップのメリットは、グリップの角がはっきりとわかり、面の向きが感じ取りやすいことにあります。

ですから、ウレタン製のグリップが標準装備のラケットであっても、レザーグリップにわざわざカスタマイズするという選手はかなり多くいるのです。

フェデラー選手はレザーグリップの持つコントロール性能がお気に入りなのでしょうね。

 

フェデラー選手の使用するストリングはこちらです。

チャンピオンズチョイス

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チャンピオンズチョイスというパッケージで売られていますが、これはナチュラルと、ポリのハイブリッドです。

縦糸が、ウィルソンのナチュラルガット

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このアルパワーラフについてはレビュー記事があります。

ぜひこちらをご参照ください。

最高のガット LUXIRON(ルキシロン)ALUPOWER(アルパワー)レビュー

https://mindtennis.net/2019/03/26/string-10/

 

ポリエステルストリングだけではなく、ナチュラルガットを使用することで、感触重視、コントロール重視のセッティングになっていると言えます。

 

やや薄いグリップで、フラットドライブ気味のボールで攻めていくプレーヤー、ボレーなどネットプレーにも積極的なプレーヤーは、このフェデラー選手のようなセッティングを試してみると良いかもしれません。

 

次に、ラファエル・ナダル選手のラケットのセッティングを見てみましょう。

同じトッププロでありながら、その道具のチョイスは全く対照的です。

 

ラファエル・ナダル選手のラケット

 

ラファエル・ナダル選手が使うラケットと言えば、こちら。

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フェイス面積100インチ

フェデラー選手が使ってきた歴代ラケットのフェイスサイズは、90インチ、95インチ、97インチとやや小さめ。

それに対して、ナダル選手のラケットはフェイスサイズが大きいのです。

これはスピンを強烈にかけて攻めていくナダル選手らしいチョイスであると言えます。

また、フレームの厚みもフェデラー選手のラケットと比べてかなり厚く、ボールがよく飛ぶラケットになっています。

かつての三種の神器とは対照的なスペックのラケットですね。

 

また、ラケットのリプレイスメントグリップ(元グリップ)は、

ウレタン製のグリップです。

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フェデラー選手が使うようなレザーグリップは使用していません。

レザーグリップの方が、コントロールが良いからいいのではないかと思われるかもしれません。

ところが、レザーグリップは手への衝撃が強かったり、手にマメができやすかったりというデメリットもあります。

ナダル選手のプレーにはレザーグリップは合わないのだと思います。

 

そして、ストリングはこちら。

バボラ RPMブラスト 135ゲージ

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ナダル選手の強烈なスピン回転だと、ナチュラルガットなどあっという間に切れてしまうのでしょうね。

ゲージも1.35極太です。

 

RPMブラストのレビュー記事はこちら。

https://mindtennis.net/2019/01/10/string-5/

 

ただ、おそらくナダル選手がナチュラルガットを使用しないのは、単純に飛びすぎを嫌ってのことかもしれません。

ナダル選手のレベルともなれば、ストリングの耐久性などどうでもいいはずなのです。

良いプレーができるなら、耐久性など犠牲にしたってかまわないのです。

大坂なおみ選手もナチュラルガットだと飛びすぎるので、ナイロンストリングを使用していると言います。

大坂なおみ選手のラケットについてはこちらの記事。

https://mindtennis.net/2018/10/30/racket-22/

 

また、振動止めを使うという点も、フェデラー選手との大きな違いです。

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手のひらの繊細な感覚をとことん突き詰めるフェデラー選手と異なり、ナダル選手のラケットは、言わば、

究極のファジー

厚いグリップで、多少のオフセンターの衝撃もものともせず、強烈なスピンをかけまくって相手を押す。

現代テニスの象徴のようなナダル選手のテニスはこの道具が支えています。

 

あなたのラケットはどちらのタイプ

 

以上が、プロの選手に見られる2つの傾向です。

フェデラー選手に見られるような感覚重視の傾向と、ナダル選手のようなパワー重視の傾向。

 

あなたのラケットはどちらのタイプでしょうか。

 

フェデラー選手のようなタイプ?

ナダル選手のようなタイプ?

 

私はいずれをとっても正解だと思います。

ただ、今後はナダル選手のようなラケットを使う選手が増えていくと思います。

 

先ほども書きましたが、今現在、市販のラケットの標準装備がほぼウレタングリップになっています。

新たにテニスを始めるジュニア世代はウレタングリップに慣れて育ちます。

厚みのあるよく飛ぶラケットも、小さなころからテニスを始めるのには最適です。

実際、バボラのピュアドライブのようなよく飛ぶラケットを使っている選手がジュニア世代には多く見られます。

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未来の世界チャンピオンは、進化した道具とともに育っていっています。

 

フェデラー選手が使っていたようなラケットは、徐々に少なくなってはいますが、それでも感覚を重視するプレーヤーは今後もこのようなラケットを使っていくと思われます。

 

最終的には自分の好み、自分のプレースタイルと相談して決めるしかないものです。

 

イチロー選手のラケット!?

 

ちなみに、先日イチロー選手の引退という話題から、こんなことを考えてみました。

 

イチロー選手がもしテニス選手ならどんなチョイスをするでしょうか。

イチロー選手の道具に対するこだわりというのは特別です。

他の選手が驚くほど道具に対して神経質だと言われています。

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イチロー選手の使用するバットは、他の選手と比べて、極端に細いと言われています。

繊細なバットコントロールをするイチロー選手らしいチョイスと言えます。

 

また、グラブも徹底的にメンテナンスします。

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そんなイチロー選手ならどんなラケットを選ぶでしょうか。

手のひらの感覚にこだわるイチロー選手なら、感触重視でレザーグリップのラケットをチョイスし、面の小さいラケットを使って、ピンポイントのコントロールをしたいと考えるのでしょうか。

 

いや、むしろ反対に、ミスヒットをしたときのことを考えて、面の大きいラケットを使いながら、もっともミスが少なくなるような安全な方法をとってプレーするでしょうか。内野安打を量産してきたイチロー選手なら、そんな考えでプレーするかもしれません。

 

ちょっと余談になりましたが、考えれば考えるほど興味深いと思います。

 

まとめ

 

道具にこだわりすぎるのはよくありませんが、道具に無頓着は問題外です。

 

みなさんも自分に合ったものを探してください。

 

よくよく吟味あるべきものなり。

 

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