左利き対策してますか
今回は練習法の話をします。
試合に出られている方からよく聞く話。
「相手が左利きでやりにくかった」
自分と同じくらいのレベルの相手であっても、相手が左利きというだけでなんか嫌な感じがしますよね。
そもそもなんで左利きって対戦していてあんなにもやりにくいんでしょうか?
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特殊な回転が左利きだとかかっているから?
いえいえ、左利きの選手が打つサーブは別に特殊ではありません。
右利きの選手を鏡に映したようなもんで、左利きの選手が打つサーブもやっぱり、大きく分ければフラット・スライス・スピンというだけです。
左利きだとシンカーとかツーシームとか、そのほか聞いたこともないような魔球が打てるわけではありません。
それとも右利きの選手は左利きの選手とは相性が悪いものなのでしょうか?
右利きだと、左利きの選手の球が特別打ちにくくなるものなのかということですが、これも全くそんなことはありません。
事実左利きの選手であっても、左利きの選手と対戦するのは苦手という人は多いので、磁石のN極とS極みたいな相性の話ではありません。
左利き同士が対戦してもお互いが苦戦し合ったりしてるので、左利きはやっぱりどんな人にとっても厄介な対戦相手となるようです。
じゃあ、そもそもなぜ左利きの選手と対戦するのは難しいのかと聞かれると、
それは、単に左利きの人の数が少なくて、慣れていないからです。
左利きの割合は日本人の場合10パーセントくらいだそうですが、世界ではもっと少ないようです。
つまり文化によって差異がある。
人類全体にとって右利きが基本設計というわけではなく、左利きになるかどうかは後天的な要素がある程度あるものと考えられますね。
左利きが少ない理由はなぜかということに関して、こんな仮説を目にしたことがあります。
「人類の歴史は戦争の歴史。古来より人間は右手に剣、左手に盾を持つようにしていた。なぜなら、心臓が左側にあるから左を守る必要がある。」
こんなことがまことしやかに書かれているんですが、これ、うそですよ。
だって、人体解剖図見てくださいよ。
画像検索で「人体解剖図」をググれば一発で出てきます。
どうですか。
心臓は真ん中です。
左側にあるというのは思い込みなんです。
だから、左を守るために、左手に盾という考え方は、そもそも前提が間違い。
むしろ右には肝臓があるんだから、右を刺れるほうが危ないんです。
戦いに行くならむしろ右手に盾を持っていた方が合理的なんです。
よって、人類に左利きが多いことを武器の持ち手から説明することには疑問が残ります。
じゃあ、なぜ左利きの割合が少ないのかと言われると、私も返答に窮します。
おそらくまだ完全には解明されてはいないのではないでしょうね。
いろいろ文献を調べると遺伝子の問題とか様々な仮説は出てきますけどね。
このブログの読者にとってはそんなことを知らなくても、「左利きのサーブがリターンできればいい」わけですから(笑)これ以上は仮説に言及しません。
本題に戻りましょう。
「左利きは天才肌」なんてよく言いますが、左利きだから天才ということは決してないので臆することはありません。
左利きの選手は絶対数が少なく、対戦することが少ないだけので、ちょっとその対策を考えておけばいいだけなのです。
その対策の一つが、左利きの選手と普段からたくさん練習しておくということです。
私はかつて学生時代、練習パートナーが左利きでした。
彼と毎週のように練習することで、左利きのサーブが苦ではなくなりました。
単純に慣れてしまったのです。
これはプロの選手なんかは当然やっていることですが、対戦相手が左利きの選手の場合、左利きの練習パートナーをつけて、徹底的に左利きの選手の対策を取ります。
試合を想定してそこから逆算するプロの選手の練習方法については、こちらの記事も参照してください。
アンディー・マレー選手の練習
https://mindtennis.net/2016/09/07/post-451/
そんな簡単に言うけど、自分の周りに左利きの人が全然いないという方は、こんな対策をしてみてください。
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まずは左利きのサーブがどのように変化していくものなのか知っておくことです。
あらかじめボールがどのように曲がるかということを「予測」することが大事なのですが、「予測」というと初心者、初級レベルの方はすぐに臆してしまいがちです。
「私はまだまだ初心者なんで、予測なんかできないですよ。」
と言われる方はたくさんおられるんですが、たぶん、そう言われる方は「予測」と「予言」を混同してしまってるんですよ。
何の根拠もなく、相手が打つ前にボールがどこに来るかを当てずっぽうで予告するこれは「予言」ですよね(笑)
「予測」というのはそういうことではありません。
「予測」というのをそんなにむつかしく考えないでください。
「予測」というのはたとえばね、サーブを打とうとしているのが、小柄で華奢な70代のおばあちゃんだとします。
そこから時速180キロのサーブが飛んでくると思いますか?
愚問ですよね。
そんな小柄で非力そうに見える年配の女性から飛んでくるサーブは、きっとひょろひょろした弱々しいボールだと「予測」するのが普通ですよね。
「予測」って、まずはこのレベルからスタートです。
相手がボールを打つよりも前に、ボールが自分のコートのどこに落ちるかということを経験則から予測するのはプロレベルの「高度な予測」です。
「予測」って言ったって、いきなりそこまでのものを求めているわけではありませんのでご安心を。
左利きのサーブが「一般的に」どのように変化するものなのかを知って、それに対処できるように動くことも、立派な「予測」ですよ。
よく切れるスライスサーブを持っている左利きの選手が相手で、右利きの選手がリターンをする場面を想定して考えます。
①フォア側にサーブが来た場合
相手のサーブは自分の身体の近くに食い込んでくるように曲がってきます。
②バック側にサーブが来た場合
相手のサーブは自分の身体から遠ざかるように曲がっていきます。
このような「一般的な」サーブの変化のパターンを知るだけで、左利きのサーブへの対処、とくに初動の部分が変わってきます。
これだけでも十分に「予測」から動いていると言っていいと思います。
まず、知識として前述の①、②については知っておいてくださいね。
でも、スポーツは知識だけあってもダメですよね。
実際左利きの選手のサーブを受けるとどうもミスばっかりしてしまうという方は、こうしましょう。
それは左利きのサーブを受けるときに、リターンを打ち返す場所を「コートのど真ん中」と決めておくことです。
左利きの選手のサーブに慣れていない人がリターンをすると、①のフォアハンド側に来た体に近いボールには差し込まれて、振り遅れてしまい、リターンが自分の思っているよりも右側に行きやすくなったりします。
反対に②のバックハンド側に来たサーブは、自分の身体から逃げていくので、ラケットの先端部分にボールを引っ掛けてしまい、やはりボールは自分の思っているよりも右側に飛んで行ってしまいがちになります。
ですから、左利きの選手のサーブに試合中に慣れていくまでには、「リターンからあまり厳しいコースを一か八かで狙わないこと」です。
リターンを一本返してストローク戦に持ち込めば、なんとか勝機は見えてくると思います。
で、相手のサーブの変化に目がついていくようになって、タイミングが合ってくれば、リターンからしっかりと厳しいコースを攻めていけばいいのです。
以上、長くなりましたが、左利きの選手の対策、とくにサービスのリターンに関しては以上のことに留意してみてください。
よくよく吟味あるべきものなり。
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