錦織圭選手のサーブ

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はじめに

 

錦織圭選手が、日本人では1995年松岡修造氏以来のウインブルドンベスト8

錦織圭選手に関しては、つい先日も記事を書きましたので、こちらもぜひお読みください。

錦織圭選手使用ラケットについて

https://mindtennis.net/2018/07/07/racket-11/

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 実は今回の躍進のかげには、錦織圭選手のサーブの進化があるのです。

 

というわけで、今回はサーブについての話です。


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この一球は絶対無二の一球なり

 

この一球は絶対無二の一球なり

これは早稲田大学OBで初代全日本チャンピオンである福田雅之助氏の言葉です。

 

まさにその言葉通りと思えるシーンが今大会の錦織圭選手のサーブで見られました。

ボールボーイから1球ずつボールを受け取ってからサーブを打つのです。

通常選手はポケットに2球ボールを入れてからポイントに臨みます。

もちろんこれはファーストサーブ用セカンドサーブ用の2球ということですね。

ところが錦織圭選手は1球しか持たない

「一球入魂」とはよく言いますが、1球、1球の重みを感じながら、集中力を研ぎ澄ませているような、そんな印象でした。

 

私はこれを見て、こんな話を思い出しました。

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日本人なら誰もが名前を知っている古典中の古典、徒然草

その中にこんな話があるのです。

 

弓道の練習を見ていた兼好法師。

弓道をする若者に対して、師が「初心者は二本の矢を持ってはいけない。」「二本目の矢を頼りにして最初にいる矢に集中できないからだ。」という。

兼好はこれを「万事に通じる教えだ。」と考える。

徒然草第92段

 

まさにこれではなかろうかと。

結果として、錦織選手は高いサーブの確率と、コースの良さでサービスゲームを優位に進め、勝利を手にします。

 

足を寄せて打つサーブから寄せないサーブへ

 

錦織選手は、ケガから復帰後、以前のような両足を寄せて打つサーブから、寄せないサーブへと変更を試みています。

とある解説者がこのような説明をしていました。

 

足を寄せるサーブは、「ナダル型

足を寄せないサーブは、「フェデラー型

 

なるほど。

確かに、ラファエル・ナダル選手はサーブを打つときに、トスを上げた後、両足を寄せてから伸びあがってボールを打ちます。

ロジャー・フェデラー選手は、トスを上げた後、そのまま足の幅が広いまま伸びあがってボールを打ちます。

 

どちらが優れているということはありません。

なぜなら、偉大な二人のチャンピオンが、それぞれ違うやり方を採用しているのですから。

 

それぞれのメリット・デメリットは何かとお話しすると、いわゆる「ナダル型」の場合、足を寄せるときに、前への体重移動をしやすく、速いサーブを打ちやすいというメリットがあります。

「フェデラー型」の場合は体重移動がもちろんできないわけではありませんが、「ナダル型」と比べればややむつかしくなります。

その反面、トスを上げた後、足を寄せなければ、頭の位置が大きく動かないため、安定したトスアップと、ラケットワークが可能になります。誤解をおそれずにいえば、「フェデラー型」の方がコントロール重視

過去の選手ではアンドレ・アガシ選手が足を寄せずにサーブを打つタイプの筆頭というイメージでした。

実際、アガシ選手はサーブでエースを取ろうというよりも、サーブを、「自分のストローク戦をより有利に進めるための一本目のストローク」という風に考えていたようです。

 

錦織選手の場合も似ているのではないでしょうか。

足を寄せない代わりに、サーブの確率を上げ、しっかりとコースをついて試合を優位に進める。

そのような考えのもとにサーブの改善を試みているのではないかと考えられます。

 

もう一つは、腕への負担の軽減だそうです。

実際、錦織圭選手は、サーブのフォームの改善に取り組んでから、「より下半身を意識してサーブを打てるようになった。」と語っています。

ケガした箇所への負担を最小限に食い止めるための工夫なのでしょう。

 

ちなみに管理人の私の写真をブログのトップ画像に使っていますが、私は「ナダル型」。足を寄せて打ちます。

まあ、これはプロレベルの話をしたあとにはどうでもいい話です(笑)

 

セカンドサーブの球種について

 

男子のセカンドサーブと言えば、大きく弾むスピンサーブ

これがセオリーという風にとらえられがちなんですが、実は近年、プロの選手がセカンドサーブでスライスサーブを多用しているのです。

 

顕著なのはアンディー・マレー選手ですかね。

自分のサーブで絶体絶命かと思われるような状況、カウント「30-40」からのセカンドサーブ。

そこから見事にセンターにスライスサーブでエースを取って切り抜けたりします。

アンディー・マレー選手の場合、あの190cmの巨体を大きく反らせてサーブを打ってくるので、スピンサーブかスライスサーブか、相手は予測しづらいのです。

そんな状況からセンターへラインぎりぎりへのセカンドサーブ。

そりゃ取れませんよね。

といった感じで、男子のプロレベルでは現在、セカンドサーブでもエースを狙うようなプレーが当たり前になってきています。

 

錦織圭選手もこれがめちゃくちゃうまい。

錦織圭選手のサービスエースの大部分はスライスサーブです。

ドミニク・ティエム選手のようなえげつないスピンサーブをセカンドサーブで打てなくたっていいんです。

 

私もかつてインカレに出場した経験のある選手と対戦したことがあるのですが、セカンドサーブはことごとくオンラインのスライスサーブ。

ファーストサーブよりもセカンドサーブの方がたくさんエースを取られたのではないかと思うほどエースを取られました。

マジかよ!と思いました。

それくらい際どいところを狙ってくるのに、全然ダブルフォルトしない。

すごい技術を持っていました。たぶんインカレ選手レベルって、そんなもんだと思います。

たまたま私が対戦した相手がそうだっただけでなく、おそらくすべてのインカレ選手がそのレベル。

プロならなおさらです。ライン際なんて狙えて当たり前。

 

ただ、ここが大事。

いいですか、スピンサーブなら、エースなどになりはしないんです。

スライスサーブだからエースになる

 

特に日本のオムニコートの場合、ボールが弾まない

そのオムニコートで、プロのスピンサーブを真似して、相手に打ちごろの高さのボールを打っているとしたら愚の骨頂です。

セカンドサーブでスライスサーブ

これ、もうちょっとうまくアマチュアも活用するべきなんです。


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まとめ

 

プロレベルでも、サーブについてこれくらい試行錯誤を重ねているんです。

 

次はあなたの番です。

 

よくよく吟味あるべきものなり。

 

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